【月例会】
11月勉強会 「米国通信・放送業界の最新動向」

会場の様子
会場の様子

 11月27日(水)、デジタルコアメンバーでもある米国在住のITジャーナリスト、小池良次氏を講師として、米国通信・放送業界の最新動向をレクチャーいただいた。米国の通信業界、IT業界をつぶさに観察し、分析している小池氏の独自の視点を交えつつ、各社の戦略や通信・放送の融合、NGN(次世代ネットワーク)、携帯電話など多岐にわたる報告がなされた。日米の通信事情比較を交えた解説に、会場からも活発な質問やコメントが寄せられた。

 小池氏の講演から

 7月にFCC(米連邦通信委員会)のブロードバンド報告書が発表された。2005年末までの状況がまとめられ、統計開始から初めて新規加入者数でADSL回線がCATVのケーブルモデムを抜いたと書かれている。DSLサービスに加入可能な地域は全世帯の78%に達した。

 BPL(電力線ブロードバンド)は、米国ではホームネットワーク系とアクセス系BPLの2種類があり、ホームネットワーク系のみが認可されている日本と異なる。米国は2004年10月に連邦通信委員会が認可基準を発表以来、すでに市場が形成されつつある。特にアクセス系が活発化し、ビジネスタイプは多様化してきた。

小池良次氏
小池良次氏

 通信・放送の融合の動きとしては、AT&Tが録画機能付きのセットトップボックスを使った「Homezone」サービスを開始、ブロードバンド向け放送サービスを準備しているが、その中核となるべきIPTVサービスがパケットロスに悩まされるという状況に陥っている。その一方で、光ファイバー事業を2009年に黒字にすると発表したベライゾンは、急速に拡大するセットトップボックスへの仕様要求にどこまで応えるのか難しい判断を迫られつつも、除々に自信を深めつつある。

 携帯電話については、加入者数が2006年6月の時点で前年比12.8%増の2億1942万に達するが、新規加入者数の増加は鈍化している。業界トップながら、他社の追い上げを許しがちだったシンギュラーが、いわゆる3.5世代の携帯データ通信サービスであるHSDPA端末の投入をきっかけに、勢いを取り戻しつつある。

 NGN(次世代ネットワーク)は、個人的には単なる流行語ではないかとも思えるが、つまるところ既存のネットワークのパフォーマンスの良さと、通信・放送、通信・データがそれぞれ融合するサービスの実現、という両方を追い求めたものになるだろう。
 しかし、NGNのような「なんでもできる」環境は、ユーザーにとって分かりやすいインタフェースを作れるのかどうかが問題になる。これはIPTVのような通信・放送融合サービスにとっても言えることではないだろうか。成功には、使いやすさが重要なキーポイントになる。日本はユーザービリティーについての研究が遅れているように思う。


 ディスカッションから

 会場から「BPLに対する周囲の反応はどうなのか」との質問に小池氏は「電力業界全体がロビー活動をすすめ、収益の柱にすべく進めていこうとしている。BPLの規制については、民主党と共和党の論点の差として取り上げられるなど政治的な面も持つが、議論の個別の部分はまだ見えていない」と答えた。また、「日本はIPマルチキャストが盛り上がってきたが、海外はIMS(IPマルチメディア・サブシステム)の開発が進められている。ビジョン先行型の日本と、やれるところから進めている米国。今後はどう違いが出てくるのか」とのコメントには、「技術、サービスはいずれ似通ったものになるのではないか。むしろ制度、業界の違いで方向性が分かれてくる」と述べた。


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