【バーチャル新世界研究会】
第2回「ゼミナール サイバー経済入門」

会場の様子
会場の様子

 日経デジタルコアでは、バーチャル新世界研究会の第2回会合を6月29日に開催した。前回の「セカンドライフ」の事例をふまえてさらに議論を進めるために、仮想世界におけるコンテンツ売買やゲーム内通貨など、経済的側面に焦点を当てた。講師には、ゲームデザイナー、ライターとして活動した経験を持ち、経済産業省でメディアコンテンツ政策や情報通信政策などに関わったのち早稲田大学大学院客員准教授を務めている境真良氏を迎えた。講演後のディスカッションでは、仮想世界の経済が現実の法制度に与える影響や、アバター(ネット上の分身)の行動がどこまで本人の行動として認められるかなど活発な意見が交わされた。

境氏の講演から

境真良氏
境真良氏
 サイバー空間は、本来は何があってもいいバーチャル(仮想的)で自由な空間だ。しかし、現実っぽく見せないと、人間は価値を見いだせないので、現実世界に似せて作られている。そこには物理的な空間を超越し、現実世界の構造を変える力も潜んでいる。例えばバラバラの事業者をつないで1つのショッピングサイトのように見せているオンラインモールやオンライン書店は、リアルな経済に変化を与えたといえる。

 また、サイバー空間の特質として、スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授が名付けた「CODE」というコンピュータのプログラムによって作られた秩序が加わる。これが現実空間との違いで、サイバー空間に制限と進化をもたらしているものだ。

 こうしたサイバー空間の経済活動を考えるにあたって、まず気付くのはサイバー空間には国境がない、ということだ。仮想世界で取引されるアイテムやゲーム内通貨のやりとりは、GDP(国内総生産)には貢献してくれないし、課税の対象にもなりにくい。そのため政府はどのように支援すべきか分からない状態にある。

 サイバー空間の経済には、その中で価値消費が完結する純サイバー経済と、サイバー空間を利用して現実の経済活動を行う準サイバー経済とがあると考えている。セカンドライフは純サイバー経済の一例だ。純サイバー経済は今のところ現実社会を大きく変化させるまでには至っていないが、これからは個人の主観的満足度のような「遊び」の要素を含めて、経済規模をとらえていく必要があるだろう。

 現在、セカンドライフに出店する企業も登場しているように、サイバー経済がリアルな経済を活性化することもあるだろう。こうした要素があればそれを発展させるような政策を、国は積極的に行っていくべきだと考える。今はその規模から言っても、余裕をもって、さまざまな政策を試行錯誤できるチャンスだ。さまざまなトライアルをどんと行っていくことを提案したい。

ディスカッションから

 会場からは「企業がセカンドライフに土地を購入するのを、投資として認めるようなことはできるのだろうか。また、提供しているリンデンラボは米国の企業だから、消費税はかからない。こうした実態を、国は一体どう把握して、コントロールしていくのか」と質問が出た。境氏は「本気で振興策を取るならいっそ投資として認めてもいいような気もするが、現実問題としては、そこまで国がサイバー経済をコントロール可能にすることはできないだろう。税金など現在の法律体系の中で、実効性のある方法で縛るのは難しい問題だ」とコメントした。

 また、サイバー空間特有の操作性や価値観についての議論もなされた。境氏は、「サイバー空間での行動が欠かせないものになってきたら、人は時間がなくなる。スクリプトを組み、アバターを自動的に活動させる行為も出てくるかもしれない。その時にアバターの行動がどこまで本人のものであると認められるのか。損害賠償はどうするのかといった問題も潜んでいる」と付け加えた。

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