【月例会】
月例勉強会「社内SNSの真価」

会場の様子
会場の様子

 3月13日、秋葉原UDXカンファレンスにて「社内SNSの真価」と題した勉強会を開催した。富士通総研経済研究所の浜屋敏主任研究員が社内SNSとビジネス、組織とのかかわりについて分析した後、実際に社内SNSを導入した事例をNTTデータ金融ビジネス事業本部の竹倉憲也課長が発表した。続くディスカッションでは、具体的な運営や成功のポイントを探る質問が相次いだ。

 浜屋氏の講演から

浜屋敏氏
浜屋敏氏

 現在のブログやSNSには、個人の属性や行動記録が詳細に書かれている。従来、企業がお金をかけて集めてきた情報が、消費者の側から発信され、データベースとして集まるようになった。企業はそれらをフィードバックとして商品開発に生かすことが可能になり、消費者自身が発した情報が次の消費者の行動へつながる、という円環構造ができつつある。これが、ブログやSNSのマーケティングへの活用の動きだ。

 これを企業内で活用するとどうなるか。情報共有ツールといえばグループウエアだが、それとの違いを考えてみると、SNSは「創発」につながりやすいということが言えると思う。グループウエアは、何らかの目的(例えば会議室を取る、など)に向けた情報を連結していくことは得意だが、構造化されていないもの、体系化されていない情報は扱いづらかった。一方社内SNSでは、特に明確な目的は持たず、仕事の話もすれば、それ以外の話もする場合が多い。そうした中から、新しいナレッジが生まれることを期待できる。それが「創発」だ。構造化、体系化されていない情報、気づきを発信でき、共有できるツールだと言える。実名が基本のため誰の発言か特定できること、基本的には閉じた空間であること、細かいアクセスコントロールや「足あと」機能などによって、仲間意識を醸し出しやすいことなどから、日本人の精神性に合っているのではないか、という意見もある。

 企業におけるSNS導入の効果は、短期間では見えにくく、数値化もしにくい。だが「創発」のためのものである以上、果たして数値化が必用か、という見方もある。また、必ずしも自発的な動きが出てくるとは限らないので、目的を設定しないのがSNS、とは言いながらも、最初は何らかの目的を設定することもひとつの方法だ。

 竹倉氏の講演から

竹倉憲也氏
竹倉憲也氏

 社内の新行動改革ワーキンググループ活動の中で、自分が参加するチームは「セクショナリズムを排する」ことをテーマに選んだ。その具体的施策として注目したのが社内SNSだ。経営執行会議での承認を受けて社内SNS「Nexti」の構築をスタートさせたワーキンググループのメンバーだけではマンパワーが不足するので、社内でボランティアメンバーを募ったところ約50人が参加してくれた。システムを約3カ月間で構築し、2006年4月から全社で運用を開始した。現在、8400名の社員のうち5200名が利用しており、6割強が使っている計算になる。特に社内で積極的な宣伝をしたわけではないが、社員の口コミで広がり、開始後4日間でユーザーが2000名に達したのは予想外のスピードだった。

 登録するとプロフィールや日記が作成できる。日記のエントリー数は、1日100~150程度。コミュニティは現在約660が稼動しており、自由に作成できる。業務に関係する「ON」と関係のない「OFF」という2種類の大きなカテゴリーに分けている。社内SNSの特徴を生かせたのが「Q&A」の機能だろう。日記を書く時に、Q&Aというフラグを付けて投稿すると、画面の一番目立つ場所にあるQ&Aに配置される。日記形式なら質問がしやすく、回答も多い。ちょっとした議論の場としても有効だ。このように組織や役職を越えた意見交換がなされるようになったことで、「社内にさまざまな人がいることがわかり、社への愛着がわいた」という声もあった。

 こうした社内SNSの運用では、スタート時にはいかに「盛り上がっている」雰囲気を作るかが重要だと思う。また、われわれの取り組みは基本的にボトムアップで進めてきたが、関係するであろうスタッフ部門には早めに根回しをして巻き込んでいくなど、ある程度トップダウン的なアプローチが必要だったことも事実だ。

 今後の課題は、アクティブユーザーをどう増やすかということだ。もっとひんぱんにアクセスしてもらい、情報を発信してもらえるようにしたい。また、比較的参加の率の低い、中間管理職や開発職の層にもどう広げていくかも考えていきたい。

 ディスカッションから

 会場からの「SNSを使っている時間は、勤務時間にカウントすべきかどうか」との質問に、竹倉氏は「社員の良識に任せ、ガイドラインは設定していない。立ち上げ時には管理職から『遊んでいるのではないか』と指摘を受けたこともあったが、休んでいるように見えて、そこでの会話から何かが生まれることもある、いわば『ネットのたばこ部屋』だと説明し、理解してもらった」と語った。

 日記を読むためのアクセス制御はあるのかとの問いには、「誰でも見ることができる、閲覧者を限定する、自分のみの3種類から発信者が選択できる。コミュニティーに関しても、管理者の承認、参加者の招待、管理者の招待、完全なオープンの4種類設けている」と答えた。

 「社内SNSを導入し、成功する会社とそうでない会社との分岐点は」との問いに、浜屋氏は「現在報告されている事例を見ると、やはりある程度リテラシーの高い会社が成功しやすいのは確か。しかし、より大事なのは社内に問題意識があるかどうかということだ。それがあれば、自然と人は集まってくる。『社内ブログを入れたがうまくいかないので今度は社内SNSに』ではだめ。」と、ツール先行の考え方には警鐘を鳴らした。また、自由に発言できるなど会社の文化・風土も重要になるという。

 これまでの上司・部下の「縦系列」、同期などの「横系列」というつながりに加えて、SNSによる「ネット系列」という新しい繋がりが生まれるのではないかとの期待も寄せられた。

 

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2007-5-04 01:46

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