【フューチャーワーク研究会】
第4回「フューチャーワーク研究会」開催

秋葉原UDXカンファレンスルーム
秋葉原UDXカンファレンスルーム

 9月28日(木)、第4回「フューチャーワーク研究会」を秋葉原UDXで開催した。知識経営、ナレッジマネジメントなどの研究で著名なコラム代表の紺野登氏が、知識経済の時代における企業組織やオフィスのあり方について解説した。また、日立製作所ビジネスデザインコンサルティング室の水谷世希氏から、日立総合研究所が今年4月に本社を移転した際取り組んだワークスタイル改革事例について、産業技術総合研究所 情報技術研究部門副部門長 橋田浩一氏から秋葉原に設置した新コンセプトの研究開発空間「ソフトウェアショーケース」ついて、それぞれ紹介があった。
 その後のディスカッションでは、現在直面している、あるいは今後予想される企業内におけるさまざまな課題について意見が交わされた。

 紺野氏の講演から

紺野登氏
紺野登氏
 知識経済の時代では、戦略を計画することよりも、組織の現場に知識創造のダイナミクスを備えさせることのほうが重要になるだろう。それに伴い、企業組織のパラダイムがこれまでのようなヒエラルキー型から、個と組織の相互作用によって知識を創造するものへとシフトする。それは、知識を創造する「場」ともいうべきものだ。
 知識創造・活用のプロセスに応じた「場」づくりが求められていることで、ワークプレース革新の波が起きているのだ。

 水谷氏の講演から

水谷世希氏
水谷世希氏
 日立総合研究所では、イノベーションクリエイターとして活躍できる新しい環境づくりを目指して、4月に秋葉原UDX内に新しいコンセプトのオフィスを構築した。「知の生産性」を高めるオフィスをつくろう、として設計されたものだ。
 具体的には、訪れた顧客の要望を聞き、最適な担当者へとつなぐコンシェルジュ・デスクや、気軽な打ち合わせと集中業務を両立させる、デスクの六角形型レイアウトなどを導入した。また社員同士の交流を促進するために、エントランスや回廊など、導線も工夫している。レイアウトだけでなく、壁一面がメモボードになったガラス貼りの会議室や、社内ブログなども用いて、活発な知識の交換が起こるようにした。
 まだ劇的な変化は起こるまでには至っていないが、企業全体が新しいスタイルへ変化してほしい、というメッセージは現場に伝わっていると思う。これからは、リアルとバーチャルを組み合わせた場に個が集い、形式知と暗黙知の交換を通じて新たな発見を見出すようなワークプレースを形づくっていくことが重要になるのではないか。

 橋田氏の講演から

橋田浩一氏
橋田浩一氏
 産業技術総合研究所(産総研)の情報技術研究部門は、秋葉原のダイビルに新しく「ソフトウエアショーケース」と呼ぶ空間を設置した。これは、実践的なワーキングラボという位置づけだ。研究成果を日常的、実践的に利用しながら、研究現場にフィードバックする場であり、外部との連携や部門融合を促進し、相互作用を高めることを目指している。ラウンジ、オープン会議室、クローズド会議室、セミナールームなどを備えている。
 今回の研究会では知識、というものがひとつのキーワードになっているが、「現場主導の知識循環」が重要ではないだろうか。
 社会全体で考えると、産業革命を経て社会の分業化が進んでから、さまざまな「現場」と中央でコントロールする者との間を埋める必要が出てきた。経済で言えば、生産の現場と、消費の現場とのギャップが問題になる。そうした場面で、知識循環による密接な連携が必要になってくる。
 現在、研究所内の情報システムの再構築を行っているが、こうしたプロジェクトでも全社最適と、現場の利用者主導の開発とを両立させなくてはならない。現場を巻き込んだフレームワークにより、知識循環を促していきたい。

 ディスカッションから

研究会主査の古矢眞義氏
研究会主査の古矢眞義氏
 ディスカッションでは、知識経営を目指す中でのマネージャーの役割について、質問やコメントがなされた。グローバル化の中で、日本的な経営スタイルを持つ日本企業のマネージャーはどうあるべきかとの質問に、紺野氏は「日本の良さは大事だが、日本的経営を守ることに固執してはいけない。日本企業はグローバル化のとば口に立っている。完全なドメスティックからの脱却は、マネージャーの大きな課題だ」と応えた。また、ミドルマネージャーは現場を全部見ており、そのノウハウを、一度大学院などに行って方法論化してみるのもいいのでは、と提案した。
 現場を巻き込んだフレームワーク、ということに関連したやりとりもなされた。ソフトウエア開発に際して、ベンダーが最終責任を引き受けるという現状を脱却し、発注や開発の手法を整備しつつ、ユーザーも仕様策定から積極的に参画するなど意識改革を図ることがポイントだとの指摘がなされた。

 「秋葉原ソフトウエアショーケース」見学会

見学会の様子
見学会の様子

 勉強会に先立ち、産業技術総合研究所のご厚意により、実際に秋葉原ソフトウエアを訪れる見学会を実施した。
 20人を超えるメンバーが参加し、現在ここで行っている研究テーマについて説明を受けながら、この新しいコンセプトの研究開発空間を体験した。


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
http://www.nikkeidigitalcore.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/152

メニュー