【トレーサビリティ研究会】
第7回「トレーサビリティー研究会」

会場の様子
会場の様子
 8月31日(木)、第7回「トレーサビリティー研究会」を開催した。無線ICタグなどのトレーサビリティー技術と、その活用について考えるこの研究会は2003年に集中的に開催したが、その後もフォローアップ会合を重ねている。
 今回は、国内におけるトレーサビリティー関連の代表的な研究機関である、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所とオートID ラボ・ジャパンの現在の活動についてそれぞれ紹介いただくとともに、国内の先進事例として、物流におけるトレーサビリティーの活用について発表いただいた。

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 越塚氏の講演から

越塚登氏
越塚登氏
 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所副所長を務める、東京大学の越塚登助教授は、ユビキタス・コンピューティングの本質を「コンピューターが自動的に『モノ』を認識すること」であり、実世界の文脈(Context)を認識して人間生活をサポートするテクノロジーだと解説した。
 そしてその実現のためには無線ICタグのようなRFID技術の開発だけでなく、様々な情報機器にユビキタス・コンピューティングのプラットフォームを実装する組み込み型システムの研究が必須であるとした。同時に、組み込み分野の技術は日本が先行しており、大きなビジネスチャンスにもつながると指摘した。
 さらに、世界中のモノや場所にucodeと呼ばれる番号をつけ、全世界規模でその情報を共有・配信する「ユビキタスIDネットワーク」を、インターネットの上にかぶせる仮想ネットワークとして構築していく考えを示した。
 また現在研究を進めている応用分野として、物流分野での活用、美術品管理、医薬品管理、交通や観光情報を提供したり、障害者の移動を支援する「自律移動支援プロジェクト」などを紹介した。

慶応大SFC研究所 梅嶋氏の講演から

梅嶋真樹氏
梅嶋真樹氏
 デジタルコアメンバーであり、慶応大学SFC研究所IDビジネスラボラトリー副所長の梅嶋真樹氏からは、自身が副所長を兼務するオートIDラボ・ジャパンの取り組みについて紹介があった。
 1999年に設置されたオートIDセンターは、2003年に非営利法人のEPCグローバルと研究組織のオートIDラボに分かれた。梅嶋氏によれば、オートIDラボはEPCグローバルからやや独立した形で活動しており、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所とも近い分野の研究を進めているという。
 オートIDラボでは、無線ICタグの読み取り性能の向上、アプリケーションの開発、ビジネスモデル・社会適応の研究などをグループごとに行っている。欧米ではネットワークシステムに力点が置かれるのに対し、日本では読み取り性能の向上といった「モノ」を重視する傾向があるなど、地域によって関心分野は異なる、と梅嶋氏は解説した。
 また梅嶋氏は、トレーサビリティーには標準化というプロセスが不可欠だが、「標準化ありき」で考えるのではなく、どの段階での標準化が価値の最大化を生むのか、という発想が重要だと指摘した。業界内部や業界同士で標準化の合意ができても、商品が最終的に家庭に入ったとき情報がつながらない、というような事態になっては意味がないからだ。
 また、現在オートIDラボが取り組んでいる事例として、模造品対策のための「セキュアサプライチェーン」や、航空機など、消費財関連産業以外での無線ICタグ活用について紹介があった。

ダイエー 高橋氏の講演から

高橋晋氏
高橋晋氏
 続いてダイエーシステム物流本部の高橋晋部長が、物流クレート(通い箱)の標準化における無線ICタグの導入について紹介した。
 現在、物流の効率化、環境対策(ダンボール箱の軽減)、食品の安全管理など、複数の視点から、クレートの標準化へ向けた取り組みが進んでいる。日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会が合同で進める「物流クレート標準化協議会」で実証実験が進んでおり、年内にもモデルクレートの設計図を作成する方針という。高橋氏は、欧米では政策的な後押しがあり、メーカーも積極的だが、日本ではまず流通側でメリットを示す必要があると述べた。また無線ICタグの活用によって、物流と情報流が完全に一致する、ということに注目し、その技術を使って何ができるかを考えれば、普及浸透も加速してくのではないかと期待を示した。

ディスカッションから

 質疑応答では、タグにどのような情報を書き込むのか、そしてネットワーク上でどのように情報を結び付けていくのか、という点や、標準化をより強力に推進していくためにどのような方策があるか、という点について意見が交わされた。

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