2010-2-22

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
新たな段階へ進むブック検索和解――日本版フェアユース論議への示唆

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 昨年、日本の出版界に黒船騒ぎをもたらした「グーグル・ブック検索」和解問題。08年10月に出された当初和解案に対して、09年9月までに全世界から400以上の異議申し立てや意見が裁判所に提出された。それらを反映して、11月に修正和解案が出され、対象著作物が、米国著作権局に登録された著作物および英国、カナダ、オーストラリアで出版された著作物に限定されたことにより、わが国の著作権者は対象外となった。これによって「黒船」は去った、一難去ってやれやれだという受け止め方もなくはないようだが、再び「鎖国」に戻るようでは、日本の将来は危うい。
 


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2009-12-08

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
グーグル問題が浮き彫りにした「電子図書館後進国」日本

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 今年の春、日本の出版界に衝撃を与え、以来大きな議論を巻き起こした「グーグル・ブック検索」和解問題。著作権者側、グーグル側の両当事者は10月7日に開かれたニューヨーク州連邦地裁での会合で、11月9日までに修正和解案を提出すると約束していた。その期限は11月13日まで延期され、同日の真夜中、日付が変わる直前に出された。修正和解案(以下、修正案)は、世界中から提出された400以上の異議申し立て・意見および司法省の意見を反映して(以前のコラム「グーグル和解問題に見る米国のしたたかな国家戦略」参照)、以下のような修正を加えた。
 


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2009-10-26

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
国家戦略の視点でフェアユース導入議論を

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 前回このコラムで、「グーグル・ブック検索」をめぐる和解案が数々の法的問題を含んでいるにもかかわらず、米国政府はそれらを修正して和解に導くよう裁判所に要請していることを紹介した。その背景には、かつてIT企業が経済のけん引役となった状況の再来をねらう、米国の「夢よ再び」戦略がある。では、以前の「夢」はどのようにしてかなったのか。それを検証した上で、そこからわが国は何を学ぶべきか、どういう問題を抱えているかを考えてみたい。
 


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2009-10-20

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
グーグル和解問題に見る米国のしたたかな国家戦略

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 ネットで膨大な数の書籍を検索・閲覧できるようにする「グーグル・ブック検索」に対する、著作権物の権利者からの和解への参加、拒否、異議申し立ては9月8日に締め切られたが、全世界から400以上の意見が提出された。両当事者は1カ月間でこれらの意見すべてを咀嚼(そしゃく)するのは難しいので、10月7日に予定されていた公正公聴会を延期するよう申し出た。ニューヨーク州南部地区連邦地裁のチン判事は、これを受け入れ、10月7日は公聴会ではなく、今後のスケジュールについて打ち合わせることになった。
 


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2009-8-03

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
ブック検索騒動で日本の書籍デジタル化は加速するか

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 前回前々回と、グーグル・ブック検索和解とそれに対する「異議申し立て」の論拠を述べた。だが、自分は書籍のデジタル化それ自体には反対していない。反対どころか、積極的に推進すべきと考えている。今回はその理由と、具体的にどう取り組むべきかについて解説したい。
 


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2009-6-15

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
グーグル・ブック検索和解「異議申し立て」再考

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 「グーグル・ブック検索」をめぐる集団訴訟の和解案が日本の著作者にも影響することになった問題は、和解案の通知期間が9月4日まで延長されたことでやや落ち着きを見せている。また、5月末に集団訴訟の原告である全米作家協会、全米出版社協会の関係者らが来日。日本で流通している本が、米国で買えないからといって自動的に全文表示の対象になるようなことはない、と説明したことで、日本の著作権者側も姿勢を軟化させる向きも出てきた。
 


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2009-5-02

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
グーグル・ブック検索和解「異議申し立て」のすすめ

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 ネットで書籍の内容を閲覧・検索できる「グーグル・ブック検索」をめぐる著作権侵害訴訟の和解案が、わが国でも大きな議論を巻き起こしている。当初、日本の著作権者も5月5日までにこの和解案を受け入れるかどうかを表明しなくてはならない、とされていたが、ここへ来て事態はさらに大きく動き出した。
 


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2008-12-08

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
「ネットも本も」覇権握るグーグル(下)――和解内容の詳細とわが国への示唆

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 前回、グーグルの「ブック検索」をめぐる訴訟の経緯と、それが和解に至った背景を紹介した。今回は、グーグルが年商200 億ドル(2兆円)の1%にも満たない1億2500万ドル(125億円)の和解金と引き換えに得たものを、グーグルがサイトに掲載した文章「和解で得られる利点」に基づいて説明する。和解についてのグーグルの発表資料はほかにもあるので、必要によりそれらも紹介するが、特に説明がないかぎり、引用部分はこの「和解で得られる利点」からのものである。
 


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2008-12-01

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
「ネットも本も」覇権握るグーグル(上)――図書館プロジェクトで著作権者らと和解

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 グーグルは08年10月、昨年の7月に本コラムで紹介した「ブック検索」をめぐる訴訟で、作家協会などと和解したと発表した。ブック検索は書籍の全文を検索して、ユーザーの興味にあった書籍を見つけ出すサービスで、ウェブ検索サービスの書籍版と考えればよい。グーグルは、図書館や出版社から提供してもらった書籍をスキャンし、デジタル化している。訴えられたのは図書館から書籍を提供してもらう図書館プロジェクト。ハーバード大、スタンフォード大、ミシガン大、オックスフォード大、ニューヨーク公共図書館という英米の5大図書館が参加して2005年にスタートした。わが国からも昨年、慶應大学の三田キャンパスにある慶応義塾図書館が加わった。
 


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2007-7-12

【ネット時評 : 城所岩生(国際大学GLOCOM)】
グーグル・ブック検索をめぐる著作権論争

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 グーグルのブック検索サービスが日本でも本格的に始動した。7月5日から8日まで東京ビッグサイトで開催された「第14回東京国際ブックフェア」にあわせて、日本語サイトの開設と慶大図書館との提携という二大ニュースを発表した。米国では出版社との提携が2003年12月から、図書館との提携が2005年11月からスタートしているが、図書館プロジェクトについてはサービス開始前に訴訟が提起されるなど、著作権論争を巻き起こしている。


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