2006-9-06

【ネット時評 : 高木 寛(インターネットプライバシー研究所)】
「法治主義」だけでコンプライアンスは実現できるか?

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 テレビで秦の時代の兵馬俑や始皇帝稜を見るたび、中国という国が持つ底力を見せ付けられる。それらは始皇帝がひきいる中央集権の強大な国家権力を象徴するものだが、それまでの混乱した世の中からあれだけの国力を作り出せた要因には、国家思想の変化もある。「焚書坑儒」(大量の書物を焼き捨て、儒家を殺害した思想統制)を実施し、それまでの徳や仁を重んじた性善説から韓非子の法家思想へと移行。それまでの性善説とは反対の、性悪説に基づく信賞必罰の法による統治が、あれだけの国家権力を作り上げたとされる。しかしながら、それが故に始皇帝没後は短命の王朝に終ったともいわれている。


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2006-4-13

【ネット時評 : 高木 寛(インターネットプライバシー研究所)】
個人情報保護法本格施行1周年

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 ライブドア事件を報道するテレビ番組が、沖縄のホテルで亡くなった関係者を取り上げたときのこと。ホテルに残された宿泊票を放映したところ、出演していた某ベンチャー企業経営者が「それって個人情報保護法違反ですよ」と声高にさえぎった。司会者は当惑気味の表情を浮かべたが反論せず、時間と話しの流れが失われてしまった。


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2005-10-12

【ネット時評 : 高木 寛(インターネットプライバシー研究所)】
「e文書法」施行、その効果と課題

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 今年の4月に、e文書法が施行された。平成17年4月、というと個人情報保護法の施行を思い浮かべる人が多いはずだ。個人情報保護の書籍が大量に発行され、多くの企業が個人情報保護法対応に追われた。まだその余韻が残っているが、先日、テレビ局のディレクターが個人情報保護法が本来の目的を逸脱して使われる社会的混乱について取材に来た。公務員の不祥事に際して個人情報保護法を盾に氏名を明らかにしないなどはその例であろう。個人情報保護法については施行後の検証の段階に入りつつあるのかもしれない。


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