2009-10-26

国家戦略の視点でフェアユース導入議論を

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 前回このコラムで、「グーグル・ブック検索」をめぐる和解案が数々の法的問題を含んでいるにもかかわらず、米国政府はそれらを修正して和解に導くよう裁判所に要請していることを紹介した。その背景には、かつてIT企業が経済のけん引役となった状況の再来をねらう、米国の「夢よ再び」戦略がある。では、以前の「夢」はどのようにしてかなったのか。それを検証した上で、そこからわが国は何を学ぶべきか、どういう問題を抱えているかを考えてみたい。
 


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2009-10-23

勉強会「『ウィキノミクス』が世界を変える~公共部門にも広がるマス・コラボレーション~」

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 日経デジタルコアは10月23日、ボランティア組織「NetSquared Tokyo(ネットスクエアード東京)」(市川裕康代表)と共同で「『ウィキノミクス』が世界を変える~公共部門にも広がるマス・コラボレーション~」と題した勉強会を開いた。会場は東京・丸の内の丸ビルコンファレンススクエア。「ウィキノミクス」の著者の一人、アンソニー・ウィリアムズ氏を招き、組織の枠を越えて多くの人々が協働するマス・コラボレーションの広がりについて講演してもらった。
 


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2009-10-20

情報通信法制の再検討は「デジタル融合」時代に追いつく好機~インターネットのトリレンマ(11)

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 総務省が「通信と放送の融合」を睨んだ「総合的な法体系」について、2010年通常国会への法案提出を見送る方向で最終調整に入ったと報じられている。もともと「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇談会)を受けた06年6月の与党合意で決まった内容であり、政権交代の段階で宙に浮いた議論ではあったが、法案提出が見送りになれば新政権の方針に沿って一定期間をかけて再検討されることが予想される。数年間にわたる議論が白紙に戻るのは大きな痛手ではあるが、竹中懇談会の段階での議論や現実からは環境や論点も変化しており、今回の仕切り直しは議論を整理する好機でもある。(本稿は「NIKKEI NET IT PLUS」に掲載したものです)
 


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グーグル和解問題に見る米国のしたたかな国家戦略

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 ネットで膨大な数の書籍を検索・閲覧できるようにする「グーグル・ブック検索」に対する、著作権物の権利者からの和解への参加、拒否、異議申し立ては9月8日に締め切られたが、全世界から400以上の意見が提出された。両当事者は1カ月間でこれらの意見すべてを咀嚼(そしゃく)するのは難しいので、10月7日に予定されていた公正公聴会を延期するよう申し出た。ニューヨーク州南部地区連邦地裁のチン判事は、これを受け入れ、10月7日は公聴会ではなく、今後のスケジュールについて打ち合わせることになった。
 


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2009-10-09

日本版FCCに期待 振興・規制分離し消費者本位の政策を

 民主党政権が誕生し、その政策が次第に輪郭を現してきた。IT分野では、通信・放送行政を総務省から切り離して独立行政委員会とする、いわゆる「日本版FCC構想」をめぐり、早くも賛否両論が巻き起こっている。

 情報通信政策について長年経済学の立場から研究を続けてきた大阪大学名誉教授の鬼木甫氏は、消費者本位の観点から日本版FCCに賛成の声を上げている一人。しかし拙速は禁物という。同じように注目される電波オークション問題とともに、意見を聞いた。
 


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