【地域情報化大賞】
IT活用し地域の資源見出せ――地域情報化フォーラム2009開催

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 日経デジタルコアは12月4日、全国の地域情報化関係者が集うCANフォーラムと共催で「地域情報化フォーラム2009」を開催した。災害時におけるIT(情報技術)の活用や地域メディアの新展開、コンテンツを活用した地域活性化などについて意見を交わした。
 

飯盛義徳氏

 基調講演を行ったCANフォーラム幹事長の飯盛義徳氏(慶應義塾大学総合政策学部准教授)は、近年の地域情報化の取り組みや成功事例を振り返りながら、「人、モノ、金だけでなく、さまざまなものが地域発展のための資源となりうる。それを見出し、『資源化』していくためにITが役に立つ」と地域情報化を再定義した。そして、今後は地域の資源を囲い込まず、オープンにして広く協働の場を形づくることができる人材の育成が急務だ、と述べた。

依田吉充氏和崎 宏氏

 地域情報化と防災を考えるセッションでは、今年8月9日に発生し18名の犠牲者を出した兵庫県佐用町の大規模水害において、この地域のSNSである「さよっち」に被害状況がリアルタイムに投稿され、対策に役立てられた事例を佐用町の獣医である依田吉充氏が報告。自身も率先して携帯電話やパソコンで情報を送り続けた依田氏は「SNSを通じ構築してきた信頼関係が非常時にも有効に機能した」と話した。また災害時の緊急コミュニティーや被害状況報告のフォーマットをあらかじめ準備したり、SNS上で災害時の訓練をしておくことなども効果的ではないかと指摘した。「さよっち」にSNSの基本ソフトを提供しているインフォミームの和崎宏社長は、同じソフトを使っている各地のSNSに、復旧作業に役立つ古タオルを送ってほしいと呼びかけたところ、予想以上の反響で26,495枚ものタオルが寄せられたことを紹介した。

長坂俊成氏

 防災科学技術研究所のリスク研究グループ長、長坂俊成氏は、神奈川県藤沢市などで進めている「防災ドラマ」の事例を紹介した。防災訓練の一環として行われる、ロールプレイング(避難者、行政担当者などさまざまな役割を与えられ、その立場に立って非常時の行動を考える)の結果をシナリオ化し、それを住民が演じるドラマとしてラジオで放送するという取り組みである。また長坂氏は、分散している災害リスク情報を相互運用し、高度なリスクガバナンスを実現する情報のプラットフォームが必要だと主張した。

牛島清豪氏

 地域メディアについてのセッションでは、佐賀新聞社のデジタル戦略チームリーダー・牛島清豪氏が、新聞社として日本で最初に構築した地域SNS「ひびのコミュニティー」や、ユーチューブ・ニコニコ動画など動画共有サイトでの映像配信など、先進的な取り組みを紹介した。その上で、「地域内の人と人、情報と人、情報と情報を最適につなぎ、情報の循環を円滑にする取り組みはメディアの責務だ」と述べ、今後は新聞社も積極的な外部連携が重要になるのでは、と話した。

若林宗男氏

 ケーブルテレビ大手・ジュピターテレコムの放送・制作部長、若林宗男氏は、地域ごとに制作している番組の可能性について言及した。「地域内の番組は『グローカル』ではなく『どローカル』だ」と話し、市区町村単位という狭いエリアで免許を取得していることを生かした地域密着の番組づくりを進めていると述べた。そうすることで、新聞の折り込みチラシや地元のスーパーと連携するなど、マスメディアにはできない独自のビジネスモデルも可能になるという。

俵 慎一氏

 地域コンテンツを生かした活性化策を話し合うセッションでは、焼きそばやおでんなど日常的な食べ物、いわゆるB級グルメを名物として町おこしにつなげる活動に取り組んでいる、B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会の俵慎一事務局長が全国の事例を紹介した。その一大イベントである「B-1グランプリ」は、26万人以上を動員する大掛かりなものだが、あくまで各参加団体の地元が継続してにぎわうようになることが狙いであり、イベントを拡大することが目的ではないと強調した。食による町おこしは全国で繰り広げられているが、成功のためには「飲食店が前面に出るのではなく、住民が主体となること」など、いくつかポイントがあるという。

大木登志枝氏

 日本総合研究所の主任研究員・大木登志枝氏は、アニメなどのデジタルコンテンツや、伝統芸能やイベントなどライブ活動を通じた地域振興について分析した。若者に人気のアニメ「らき☆すた」」の舞台となったことを町おこしにつなげた埼玉県鷺宮町や、愛媛県東温市に地域文化の発信拠点として誕生した「坊ちゃん劇場」など事例を挙げて解説を進めた。地域の人々がなんらかの形でコンテンツ制作にかかわり、地域社会の共同事業として実施することで、地域社会を生活の場として再生させることにつながるのではないか、と期待を示した。

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