【緊急コメント : P2P米最高裁判決】
事実確認が不足、判決は時期尚早

慶應義塾大学 経済学部助教授 田中 辰雄氏

 私は著作権問題は経済問題であると考えているので、今回の判決は残念なことであると思います。経済問題として考えるなら、次の2点の事実確認が決定的に重要です。

(1)ファイル交換によって、オリジナルのコンテンツの売上がどれくらい減少しているかどうか。

(2)ファイル交換されるコンテンツのなかで著作権上クロなもの、シロなものの比率はどれくらいか

 現状ではこのような基本的な問いへの答えが出ていません。ちなみに(1)については私が進めているものを含めていくつか研究があり、それらをまとめるとファイル交換によるオリジナルコンテンツの売上減少はほとんど無いか、あってもわずかのようです。(2)については寡聞にして調査例を聞きません。ベータマックス判決の精神からは重要なポイントになるはずです。

 このような事実確認を踏まえて議論をたてるべきであると思います。それを踏まえずに判決を下す事は大きな間違いを生むことになります。現在は著作権問題は法律問題としてのみ議論されている感がありますが、本来は特許制度のように経済問題として議論するべきです。

 

<田中氏プロフィール>東京大学経済学部卒。国際大学GLOCOMの設立時に参加してインターネットに触れて以来、情報通信産業にかかわりをもつ。現在慶応大学経済学部助教授。主として計量実証面からの分析を進めている。最近の研究対象は、ネットワークの外部性、ビデオゲーム、携帯電話など。

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