【月例会】
勉強会「NGN前夜――日本のICT戦略に死角はないか」

会場の様子
会場の様子
 3月よりNTTによるNGN(次世代ネットワーク)の商用サービスが、東京、大阪など一部の地域で始まる。日経デジタルコア2月20日の勉強会では、総務省電気通信事業部料金サービス課の古市裕久課長を招き、NGNを他の通信事業者が利用する場合の接続ルールについて、論点を解説いただいた。ディスカッションでは、日本のICT戦略と国際競争力や、既存のネットワークとNGNの関係についてなど、活発な意見交換が行われた。

古市氏の講演から

古市裕久課長
古市裕久課長
 情報通信審議会は、答申案「次世代ネットワークに係る接続ルールの在り方について」を1月29日に公開した。これに対するパブリックコメントを募集した上で、最終的な答申をまとめる。
 NGNは、従来のインターネットに比べて、安全性・信頼性を高められることがメリットで、高品質の光電話サービスやコンテンツ配信向けサービスの実現などが期待できる。
 基本的な方針では、NGN設備を他社に開放するよう義務づけ、接続条件や接続料など基本的な事項を明確にしていく。多様な事業者が公平に利用でき、多彩なビジネスが花開くよう環境整備を目指す。
 帯域制御機能や認証機能など、機能ごとに開放すべきとの議論もあるが、まだ新たに登場するサービスの形態が具体的に見えないため、現段階での判断は時期尚早だ。
 NGNに接続するコンテンツ配信事業者が電気通信事業法上の電気通信事業者ではない場合でも接続ルールの対象とするなど、ルールの柔軟な適用を求める声もある。
 ITUなど国際機関では、NGNにおける固定通信網と移動通信網の連携を積極的に検討している。この点については、将来、現実的な姿が見えてきた段階で競争ルールを含めて議論する方針だ。

ディスカッションから

 デジタルコアの「ネット社会アーキテクチャー研究会」主査であるインテック・ネットコアの荒野高志氏からは、「現在のインターネットとの接続についてどう考慮しているかが見えない点が問題。NGNに移行する中で、どう位置づけられていくのかに関心を持っている」とコメントした。
 日本経済新聞社産業部編集委員兼論説員の関口和一氏は、「光ファイバー、NGN、接続ルールという議論が同時並行で進み、混乱している感がある。それぞれを分けて考え、その上で全体のグランドデザインを議論することが重要ではないか」と指摘した。
 会場からは「ホームセキュリティーや医療の現場では、誰かが責任を持ち絶対に切れないネットワークがまさに求められている」という期待の声が上がる一方、ICT分野における日本の国際競争力の観点からは「優れたインフラを持つことが国際競争力の源泉になるとは限らない」「携帯電話のように日本固有の規格に固執して国際競争力を失う可能性もある」という懸念も寄せられた。
 「NGNと既存ネットワークとの関係など、複雑なことが多いため、利用者が混乱するのでは」という懸念に対して古市氏は、「ともすれば競争ルールをはじめサプライサイドの議論になりがちだが、消費者行政の観点から議論する場を設けることを検討している」と答えた。また国際競争力について「標準化をアジアの国々と連携しながら進めていくなど、国際的に普及していくよう考える必要があるあろう」と述べた。

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