【月例会】
日経デジタルコア オープンフォーラム「コンテンツ流通の新たな社会基盤整備へ向けて」レポート

会場の様子

 日経デジタルコアは8月7日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにて「コンテンツ流通の新たな社会基盤整備へ向けて」と題したオープンフォーラムを開催した。デジタルコンテンツ分野の第一線で活躍するさまざまな立場のパネリストから、現状のコンテンツ流通の問題点と、法制度も含めた今後の社会基盤のあり方について語られた。

境真良客員准教授

冒頭、早稲田大学大学院国際情報通信研究科の境真良客員准教授は、「ネットの自由さやそこから生まれたコンテンツを、産業界とどう調和させていくか」が課題だと問題提起した。

3月に「ネット権」の新設やフェアユースの規定を含む政策提言を行ったデジタル・コンテンツ法有識者フォーラムの事務局長を務める、西村あさひ法律事務所の

境真良客員准教授

岩倉正和弁護士は、その提案について「コンテンツについて全てをカバーするルールは作れないが、現実的な1つの仕組みとして提言した。貴重なデジタルコンテンツが死蔵されている現在、フェアユースについての制度化が必要だ」と述べた。

これに対し、ミュージシャンであり、実演家著作隣接権センター運営委員として活動している

椎名和夫氏

椎名和夫氏は、「クリエイターに対して圧倒的な優位性を持つコンテンツホルダーに権利を集中させても、公正な利益配分が行われるかは疑問。実演家の許諾権を失うことは大きな問題」と反論した。

 日本テレビで数々のヒット番組を制作し、ネットメディアの第2日本テレビでコンテンツ制作に取り組む日本テレビ放送網編成局の

土屋敏男エグゼクティブ・ディレクター

土屋敏男エグゼクティブ・ディレクターは、「コンテンツは技術やビジネスだけでなく、文化の側面がある。何を伝えるべきかを内包したビジネススキームを構築し、突破力のあるコンテンツで国際マーケットに出ていくべき」と語った。

津田大介氏

ジャーナリストの津田大介氏は、「クリエイターや著作権者、消費者という立場を、一人の人間が兼ねるのが現代。これらの間で、メリットが均衡するポイントを探ることが重要」としながらも、「自由が制限されるとネットが持つ本質的な価値が生かせないのではないか」との見方を示した。

加藤幹之経営執行役

 長く知財関連の業務を担当してきた富士通の加藤幹之経営執行役は、フェアユースの発想について理解を示し、制度をつくり一定のルールのもとで運用していくべきだと述べた。またコンテンツをグローバルに普及させるために何が必要か、という点については「コンテンツは文化そのもの。文化をどう海外に売るのか、という視点で考えなくてはならい」と提言した。

中村伊知哉教授

 慶應義塾大学メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授は、ダビング10をめぐる議論の迷走を例に挙げ、新しいコンテンツ産業を作るにあたり、もはや官庁主導では何も進まないと分析。制度を動かすよりも、当事者同士の契約を前提にして進めていったほうが即効性があるのではないか、と述べた。

金正勲准教授

 講演後のディスカッションでは、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の金正勲准教授の司会で「ネット権」の提案をどう考えるかをはじめ、活発な議論が展開された。

 

 

 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
http://www.nikkeidigitalcore.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/281

コメント一覧

メニュー