【月例会】
日経デジタルコア オープンフォーラム「成熟した情報セキュリティ立国の実現へ向けて」レポート

会場の様子

 日経デジタルコアは9月8日、大手町のサンケイプラザにて「成熟した情報セキュリティ立国の実現へ向けて」と題したオープンフォーラムを開催した。
  現在、日本の情報セキュリティに関する国家戦略である次期情報セキュリティ基本計画の検討が進んでいる。基調講演では、政府の情報セキュリティ政策会議基本計画検討委員会の委員長である東京大学大学院の須藤修教授が、次期計画の方向性をまとめた第1次提言について解説した。

須藤修教授

須藤氏は、この提言の柱である「事故前提社会への対応力強化」に関して「気づきを重視し、各主体ごとに判断力を向上する環境を作っていく」ことが必要と強調した。その上で、社会の重要インフラを守る方策や、中小企業に求められるセキュリティレベルなど、具体的な課題について、合理的で実効性のある基準を示さなくてはいけないと述べた。

篠田陽一氏

続くパネルディスカッションでは、内閣官房情報セキュリティ補佐官の篠田陽一氏が司会を務め「コストからメリットへ~『事故前提社会』における企業経営と情報セキュリティ」をテーマに、企業のCIOやセキュリティ分野の研究者など、異なる立場のパネリストたちが意見を交わした。

有賀貞一氏

ミスミグループ本社副社長の有賀貞一氏は、「今後は、妥当な構築コストの範囲で必要なセキュリティレベルをどうしたら実現できるかを考えるべき」と述べた。

木内里美氏

大成ロテック常勤監査役の木内里美氏は「情報セキュリティはリスクマネジメントの1つとして考えるものだ」とし、さらに「情報セキュリティは利便性とのトレードオフであるべきではない」とも主張した。

三好眞氏

この夏から情報セキュリティの格付け事業を開始したアイ・エス・レーティング執行役員調査研究部長の三好眞氏は「業務の委託先も含め、サプライチェーンを全体を視野に入れてセキュリティーを考えなくてはいけない時代になってきている」と報告した。

内田勝也氏

情報セキュリティ大学院大学教授であると同時に、横浜市CIO補佐監の内田勝也氏は、「技術的なセキュリティよりも人的なセキュリティについて意識を高めるべきである」と主張し、現在進んでいる基本計画の検討では人間の問題をどう解決するかの視点が足りないのではないか、と指摘した。

質疑応答では、篠田氏の「情報セキュリティに関するさまざまな議論がなされているが、実際のところ、経営トップや現場の意識はどう変わってきているのか。中小企業でも対策は進んでいるか」との問いに、内田氏が「情報セキュリティのレベルは企業規模の問題ではなく、必要性を感じているかに左右されている。SOHOでもきちんと対応しているところはある一方、首都圏の大企業でも対策が取れていないことがある」と答えた。三好氏は「情報セキュリティを品質管理(QC)の一環に取り入れている企業はうまくいく傾向がある。日本のお家芸である全社的品質管理(TQC)に落とし込み、日常的に取り組むことも大事なのでは」と意見を述べた。会場からもセキュリティ確保の取り組みが顧客の獲得につながった事例の紹介があるなど、活発な議論が展開された。

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