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知識社会には情報の信頼性向上が不可欠・GIICセミナー

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 アジア、欧米の情報通信関連企業が中心となり、ITの世界的な普及促進を目指す民間団体である世界情報基盤委員会(GIIC)ほかが23日、テレビ会議システムを使って多国間で意見を交わすセミナーを開催した。
 

 これはネット犯罪やデジタルデバイドといったITの「負の側面」の解決へ向け、国際連携をどう進めるかをテーマとしたセミナーのシリーズで、2回目の実施(前回の模様)。GIICと世界銀行、日立製作所が共同で主催した。今回は国際社会全体で幅広く知識を共有していく「知識ベース社会」成立の可能性を探った。
 
 メイン会場となる東京の世界銀行東京開発ラーニングセンターにパネリストと全体の司会者が出席。テレビ会議を通じて神戸、ワシントン、ジャカルタ(インドネシア)、ディリ(東ティモール)の参加者と意見を交わした。

 パネリストは日立製作所システム開発研究所の前田章所長、総務省情報通信国際戦略局の今川拓郎情報通信経済室長、日経BP社の渡辺洋之執行役員クロスメディア本部長の3名。司会を経営コンサルティング会社であるインスパイアの高槻亮輔社長が務めた。

 前田氏は、今後社会と知識との関係は「Knowledge as a Service(KaaS、カース)」に向かうのではないか、とネット経由でソフトウエアを提供する「Software as a Service(SaaS、サース)」になぞらえて話した。現在、急速に発展しているセンサー技術によって、社会のさまざまな現象がデータ化されつつある。その膨大なデータを、高機能化したコンピューターやソフトウエア、ネットワーク技術の集合体である「クラウドコンピューティング」によって整理・分析し、知識として社会全体で活用できるようになる、というのが「KaaS」のイメージだという。

 今川氏は、これまでの日本のIT政策について、その主眼がインフラ整備から利活用へ、そして安全・安心へと広がってきたと振り返った。その上で「日本のインフラは世界でもトップクラスになったが、利活用の面ではまだまだ。ネット上の情報に対する信頼性という点でも課題が多い」と述べた。

 渡辺氏は「知識ベースの社会を成立させるためには、情報の信頼性が不可欠」とし、マスメディアが産業として衰退すると、情報の信頼性を担保する手段がなくなってしまうのではないかと懸念を示した。そして同時に、情報の流通を阻害する要因を取り除くことも重要だ、と主張した。たとえば、ネットへの情報や意見の書き込みが匿名から実名へと移行していくと、信頼性は向上するものの、ネットに出てこなくなる情報も出てきてしまう、という点に注意する必要があるという。

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 海外の参加者をまじえたテレビ会議によるディスカッションでは、東ティモールの会場から「まだ私たちの国は新しく、国づくりとともにIT環境の整備も進めていかなくてはいけない。ぜひ各国からの援助をお願いしたい」と学生が訴える一幕もあった。一方で、「省庁間の縦割り意識が強いので、それを打破するために共通の情報プラットフォームを作りたい」という意気込みが述べられたり、インドネシアからの参加者からは「ラストワンマイルにはWiMAXを積極的に使いたい」という構想が示されるなど、先進国にとって参考になる意見も飛び交った。

 ワシントンから参加した、世界銀行のヴァリエ・デコスタ「infoDev」プログラムマネージャーは「先進国では、ITを産業や行政の重要な部分に用いている。そうした事例から得た知識を途上国に積極的に明らかにしてほしい」と呼びかけた。日本に対しては、災害対策時のIT活用についての情報も期待しているという。そのためにも、各国政府はIT環境整備を進めるだけでなく、自らが積極的にITを利用し、モデルケースとなるべきだと指摘した。

世界情報基盤委員会(GIIC)
http://www.giic.org

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