【月例会】
日経デジタルコア オープンフォーラム 「次世代ネット社会におけるネット中立性の意義」レポート

会場の様子

 日経デジタルコアは10月3日、大手町のKDDIホールにて「次世代ネット社会におけるネット中立性の意義」と題したオープンフォーラムを開催した。

ティム・ウー氏

 インターネットの中立性に関する著書があり、この問題の第一人者として知られる米コロンビア大学教授のティム・ウー氏は、「インターネットの中立性とは、公益的なツールとして仕様が開かれていること、と定義できる。中立生のメリットは、市場への参入障壁が低いこと、言論の自由があり平等性があること」と述べた。日本でNTTなどが進めている次世代ネットワーク(NGN)については、「その設計に膨大なコーディネーション(合意形成)コストが要求されることが問題となるだろう」と指摘。さらに「将来を確信しすぎるのは危険だ、ということを日本は第五世代コンピュータープロジェクトで学んだのではないか?」と疑問を投げかけた。

田川義博氏

 情報セキュリティ大学院大学セキュアシステム研究所客員研究員の田川義博氏はネット中立性を「ネットワークとアプリケーション、コンテンツのそれぞれについて、技術革新と投資を拡大させるための重要な問題」との認識を示した。中立性を高めるためには政府主導で進める、独禁法に任せる、市場に任せる、ガイドラインを作る、などいくつかのアプローチがあることに言及し、「今後、ネットワークの問題はユーザーを中心に考え、組み立てていくべきではないかと思う」と述べた。

谷脇康彦氏

 総務省情報通信国際戦略局情報通信政策課長の谷脇康彦氏からは、「P2Pの利用などによるネットワークの混雑が進んでいることと、利用の公平性をどう保つかということとは、分けて議論すべきだ」と指摘。「その上で、ブロードバンドを端末通信、プラットフォーム、コンテンツ、アプリケーションといった事業レイヤー間のインターフェイスをオープンなものにし、それらを組み合わせたビジネスモデルを自由に組み立てられるようにすることが政策の主題である」と述べた。

会津泉氏

 フリーディスカッションでは、多摩大学情報社会学研究所主任研究員の会津泉氏が「これまで物理的設備に重点を置いたビジネスや政策が多かったが、IPやデジタル化はむしろ論理的な機能に基づいた付加価値の世界。この2つの枠組みが整理しきれないまま両方存在している」と現状の問題点を整理した。
 会場からはレイヤーによって異なるリスクをどう取るか、日米の違いなどについての質問が寄せられた。多様なビジネスモデルの創造が重要だ、という意見もあがり、活発な議論が進んだ。
 議論の中でティム氏は、「日本はトヨタ、ホンダのように世界中で受け入れられる製品を作り成功を収めた。それはある意味で中立性に支えられたとも言える」と持論を展開。NGNに取り組むなら、他国の通信キャリアも導入できるようなものを考えるべきだ、とも強調した。

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