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ネット社会では新発想のルールづくりを・GIICセミナー

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 日米欧などのIT関連企業が中心となり、ITの普及促進について議論する世界情報基盤委員会(GIIC)は15日、世界銀行、日立製作所と共催でテレビ会議システムを通じ多国間で協議するセミナーを開催した。
 

 このセミナーはデジタルデバイドやサイバー犯罪など、ITの「負の側面」について国際的に考えていく目的で企画され、今回がシリーズ3回目(第1回第2回の模様)。これまでの会合では、各国の先進的な事例や成功ノウハウ、あるいはそれぞれが抱える問題点などをインターネットで幅広く共有していく「知識ベース社会」の形成が有効であるとの方向性が見出された。今回は知識ベース社会を作るために何が必要か意見を出し合った後、そこで求められる新しい発想や考え方について議論した。

 東京のメイン会場には国内のIT企業関係者のほか、各国大使館関係者や留学生が出席。米国ワシントン、フィジー、神戸、岡山に設けられた会場とテレビ会議でつなぎ、双方向でやりとりを進めた。パネリストは各国の政治・政策に詳しいパシフィック21の横江公美代表、経済産業省情報経済課の境真良課長補佐、日本経済新聞社デジタル編成局次長の渡辺洋之。司会は日立製作所情報・通信グループの梶浦敏範IT戦略担当本部長が務めた。

yokoe0515.jpg 横江公美氏

 横江氏は米国でオバマ大統領がネットによる情報発信を積極的に進めている事例を紹介。スピーチ映像をネットで流すにとどまらず、景気対策の巨額に上る政府支出がどのように使われているか情報を開示するウェブサイト「Recovery.gov」を設置するなど、情報公開を徹底させているという。

sakai0515.jpg 境真良氏

 境氏は、知識ベース社会の制度設計という視点からスピーチした。ネット空間に形成される市場ルールをどう設計するか、著作権をどう考えるか、など具体的な課題を挙げ、これらについては従来と異なる発想で制度を考える必要があるのでは、と問題提起した。例えば、是か非かといった二元的な考え方ではなく、「こうした方がいい」といったような中間的なアプローチも必要だという。また、インターネットという世界中で一枚岩の空間と、各国ごとの政治制度との間であつれきが生まれ、一部ネットに「国境」ができつつあることをどう解釈するかも難しい問題だと述べた。

 渡辺局次長は、知識ベース社会では情報の信頼性の確保と、情報の流通を阻害させないことが重要だと指摘。これまでマスメディアが担ってきた情報の検証や継続的な発信が、メディア産業への逆風によってままならなくなる危険性や、さまざまな権利主張でコンテンツが流通しにくくなっている現状を訴えた。

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 ワシントン会場からは、世界銀行の主任ICT専門官であるティム・ケリー氏が発言。IT社会を形作っていくためには政府の関与、競争環境の整備、環境への配慮、国際協力の4点が不可欠だと話した。また、フィジー会場からは「わが国ではコストの問題からメディアが発展しないという問題があり、ネットによる電子新聞に興味がある」という声が寄せられた。これについてケリー氏も「環境問題の視点からも電子新聞は有用ではないか」と述べた。

kajiura05152.jpg 梶浦敏範氏

 司会の梶浦氏は「境氏の『デジタル時代だからこそアナログ発想のルールを作ろう』という指摘に象徴されるように、これからは旧来の社会常識や、現在インターネットに抱いているイメージを超えたところでものを考えていく必要がありそうだ」と議論を締めくくった。


世界情報基盤委員会(GIIC)
http://www.giic.org

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