【デジタルコア・ニュース】
ネットとリアルの融合、新たな形示す――杉並TV、商店街から5時間ネットライブ

suginamitv.jpg
 
 東京・杉並区で、映像制作を通じ住民視点の情報発信を続けている「杉並TV」は12月5日、5時間にわたるインターネットライブ中継を行った。JR荻窪駅にほど近い「教会通り商店街」の空き店舗を拠点に、午前11時30分から午後4時30分まで、衆人環視の中で放送を続けた。
 

 放送では、商店街に軒を連ねる店主らが次々と登場し、自慢の商品や店の歴史などをアピール。あらかじめスタッフが店を訪れ、撮影した映像も流された。また、北海道北見市で全国の在宅ワーカーをインターネットで結び事業を展開しているワイズスタッフの田澤由利社長をゲストに迎え、長年商店街を支えてきたおかみさんたちが「キャリアウーマン対談」を繰り広げる一幕も。はたから見るとまるで井戸端会議のようだが、内容的には職住接近の重要さや地域活性化の方策まで、幅広く意見が交わされた。

 このネットライブは商店街の歳末イベントとタイアップする形で企画された。同じ会場で福引き抽選が行われたこともあり、終始多くの住民がこの場を訪れた。そうした人々にもマイクを向け商店街の感想を聞くなど、臨場感のある形で放送は進んだ。

 ライブ自体は無料でネット放送ができる動画サイト「スティッカム」を利用して行われたが、ほかにミニブログの「ツイッター」でもこの模様を中継した。さらに、杉並と同様、住民が映像制作に取り組んでいる福岡県東峰村とテレビ電話で結びインタビューするなど、多元的にネットメディアを活用。「ネットを見て、面白そうだと思って来てみた」という人もいた。

 イベントを終えた教会通り商店街の斎藤敬子会長は「こういうことの積み重ねで、お客様と商店主が仲良くなってもらえたら嬉しい。大規模な商業施設にはない、商店街ならではの暖かさを感じていただけたのでは」と手ごたえを語っていた。

 杉並TVは、熊本県内のテレビ局に勤務していた岸本晃氏が90年代後半に開始し全国に広がった「住民ディレクター活動」に呼応して誕生。2005年から本格的にスタートした。住民ディレクター活動では、映像コンテンツそのものよりも、その制作課程において地域内の人々がコミュニケーションを深め、地域の課題解決や街づくりに貢献していくことを重視している。

 ネットライブを企画した杉並TVの高橋明子氏は「多くの人の協力で成立するイベントの開催には信頼関係が不可欠。4年間住民ディレクター活動を続け、その信頼関係を築いてきた」と、一朝一夕にこうした試みはできないことを強調する。今回の企画については「ネットで映像を放映するだけでも大変なのに、さらにライブで番組を作らなくてはならず、負荷は大きかった」としながらも、やはりライブ、生のパワーは圧倒的だったという。「恐らくVTRを流すだけでは誰も足を止めてくれなかっただろう。その場でカメラとマイクに向かって誰かが話していると注目が集まる。子供たちも『テレビだーっ』と駆け寄ってきてくれた」。

 ネットを通じた人のつながりと、フェイス・ツー・フェイスのリアルな人のつながりとをどう融合させていくかは、これからの情報化社会の方向性を考える上で重要なポイントとなる。「まさにリアルな人の関係で支えられている商店街という場で、ネット放送をするという意味がそこにある」と高橋氏は見ている。今後も積極的な活動を展開していく考えという。

杉並TVのホームページ
http://www.suginami-tv.jp/site/home.html

福岡県東峰村の取り組み
http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/02/post_187.html

岸本晃氏のホームページ「八百万人紀行」
http://www.yaoyorozu-hito.jp/

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
http://www.nikkeidigitalcore.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/352

コメント一覧

メニュー