【月例会】
オープンソース活用の意義をめぐり議論 初の関西エリア勉強会開催

初の関西エリア勉強会の会場
初の関西エリア勉強会の会場
 日経デジタルコアとして初となる、関西地区での勉強会を10月28日に大阪・産業創造館で開催した。これは、オープンソースソフトウエアの技術的な課題や展望を話し合うコンファレンス「関西オープンソース」(主催:同会議実行委員会ほか)の一環として行われたもの。デジタルコアメンバーである岐阜県情報技術顧問の神成淳司氏、マイクロソフトの楠正憲氏らが参加し、オープンソースの活用について議論を交わした。

 今回の勉強会のテーマは「企業、自治体のオープンソース活用・現状と展望」。神成氏、楠氏に加え、ゲストとして自治体のオープンソース導入の実践事例を研究している、慶應大学経営管理研究科の林幹人氏を迎えた。

 林氏は、自治体がオープンソースを導入する一般的な理由として、コスト削減や特定業者への依存回避などを挙げた。しかし実際にはサポート体制の不備などのためにより多くの手間がかかったり、結局ひとつの業者に管理を任せることになるケースも多く、一概にオープンソースが効果的、とは言えないのが実情、と話した。
 また、地域によっては県内のソフトウエア産業を育成するねらいでオープンソースを活用している例もあるとして、長崎県の事例を紹介した。長崎では、中小のソフトウエア企業でも入札に参加できるよう、発注案件を細分化するとともに、誰でも技術情報を入手できるオープンソースの活用を条件にすることで、「参入障壁」を低くする努力を重ねている。これは、自治体によるオープンソース活用の効果的な事例ではないかと分析した。

 続いて神成氏は、自治体でのオープンソース活用には限界があるのでは、という見方を示した。オープンソースの活用には、その技術情報や事例を交換するコミュニティーが不可欠だが、地域にはそうしたコミュニティーが育っていない、などの理由からだ。また、ひとつの企業と保守管理まで含めて長期的な契約を結んだほうが入札を繰り返すよりもコスト削減につながることもあり、短絡的な判断は危険と警告した。

 楠氏も、オープンソースであること自体に価値を見出すような考え方には疑問がある、と述べた。コストについても、従来のシステムをいきなりオープンソースに切り替えようとすれば、かえってコスト高になってしまうし、そもそも情報システムの価格はそれに取り組む担当者の技術力に依存している場合が多く、オープンソース即コスト削減とはいかない、と指摘。大事なことは、常に技術革新を促し、競争力のあるユニークな技術が生まれてくる土壌を作ることだ、と強調した。

 参加者との質疑応答でも、システム構築におけるオープンソースソフトウエアの位置づけや、それを使う側の姿勢など、多岐にわたる議論が繰り広げられた。

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