【竹中懇談会最終報告書 : 緊急コメント】
デジタルコアメンバーからの意見を紹介

本年1月からスタートした、竹中平蔵総務相の私的懇談会である「通信・放送の在り方に関する懇談会」は、6月6日(火)に最終報告書をまとめた。
 
懇談会のホームページ
 
通信と放送が融合する時代の政策のあり方を論じてきたこの懇談会では、規制改革の方向性に加え、NHKやNTTのあり方にも言及するなど、大きな注目を集めてきた。その報告書の内容について、日経デジタルコアメンバーから寄せられたコメントを掲載する。

<東洋大学 経済学部 教授 山田 肇氏>

・今回の結論に、長い将来を見通したところが見当たらない。
・当面の策に言及しているが、政治との妥協を意識しすぎている。

せっかくの機会だったので、将来をどう展望するか(どのような新しいビジネスモデルが考えられるのか、その時点では、規制はどのように変わるべきなのか。など)を議論すべきだったと思います。それこそ、有識者の役割でしょう。

NHKは民営化しない。県域免許制度には意味がある。NTTの国際競争力をそぐのはおかしい。などなど、この期間に政治から、どれだけ、割り込みが入ってきたことか。
それに配慮するあまり、理想を語ることのない報告になってしまった、というのが僕の評価です。

既得権益者が、それを守ろうとするあまり、改革を止め、その結果、長期的には産業全体が落ち込んでいく。そのようなことにならないように歯止めをかけるべきです。今回の場合、マスコミ自身が既得権益者で守りの立場に立ったので、歯止めになるような提案報道が少なかったのではないでしょうか。それは新聞の特殊指定問題でも同じですね。

<公立はこだて未来大学 学長 中島 秀之氏>

「処理」を忘れた「通信」の虚しさ

情報「通信」に限定された話題が展開されている。どうやって送るかという側面のみが取り上げられ、何を送るかの議論がない。おそらく今と同じコンテンツが送られ続けるのだという前提で議論がなされたのだと考えるが、これは大きな間違いであると言いたい。

「ウェブ進化論」は情報処理の専門家が見ても良く書けた本である(ただし,Web 2.0で止まるのではなく、我々はその先を研究しているわけだが)。インターネットの「向こう側」で行われる膨大な情報「処理」が世の中や企業のあり方を変えようとしている。そのことを念頭に置かずに、インターネットの「こちら側」の仕組みを考えるのは著しくバランスを欠き、全く間違った方向へ議論が行ってしまう可能性を秘めている。

具体的には
・「ソフトパワー」と言いながらも,アニメが言及されている程度で,新しいサービスのことに一切触れられていない。
・検索エンジンの重要性は今後ますます増加する。そのときに直ちに問題になるのが「言語」の問題である。日本のソフトパワーを伝える手段は日本語なのか、英語なのか?
・放送と通信はそれぞれ得意分野が異なる。放送は大量データの一斉通信に向いているし、通信は異種データを個別に伝達するのに向いている。これらの手段を統合するということは、ますます機能別に切り分ける手法が重要になるということである。たとえばアップリンクは通信線で、ダウンリンクは放送というようなことも考えられる。それにもかかららずIPマルチキャストにしか言及していないとはどういうことか。
・法体系のレイヤー化には賛成であるが、伝送・プラットフォーム・コンテンツという従来型のレイヤー化では対応できないだろう。たとえばGoogleの展開しているGmailホスティングサービスはプラットフォームなのかコンテンツなのか?(どちらでもないと思うのだが)

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2006-6-21 00:05

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