【月例会】
「Web2.0の論点整理と将来展望」をテーマに月例勉強会を開催

会場の様子
会場の様子
 日経デジタルコアは4月13日、「Web2.0の論点整理と将来展望」をテーマに月例勉強会を開催した。
 最初に富士通総研経済研究所の湯川抗上席研究員がWeb2.0の基本的な論点を整理・分析した後、『Web2.0 BOOK』(インプレス)の筆者であるフィードパスの小川浩COOが「フィード」の技術によって可能になるWeb2.0的な取り組みについて紹介した。またD4DRの藤元健太郎社長は、Web 2.0が産業や社会に与える影響についての予測をふまえて講演した。3人のレクチャーの後、参加者全員でディスカッションを行った。

湯川氏の講演から

湯川抗氏
湯川抗氏
 昨年後半からインターネットビジネスの世界で「Web2.0」が話題を呼んでいるが、きっかけとなったのはティム・オライリー氏が昨年9月に発表した論文「What is Web 2.0」である。
 同論文には整理すると、次の7つの論点がある。(1)プラットフォームとしてのWeb(2)集合知の利用(3)データは次世代の「インテル・インサイド」(4)ソフトウエア・リリースサイクルの終焉(5)軽量なプログラミングモデル(6)単一デバイスの枠を超えたソフトウエア(7)リッチなユーザー体験――だ。
 中でも、「プラットフォームとしてのWeb」の考え方はWeb2.0の中核をなすものと言える。Web利用に関するアイデアや、ロングテール(売れ筋以外のニッチなマーケット)をいかに取り込むかといった論点が示されている。
 「集合知の利用」は、参加型のアーキテクチャーによって支えられている。ひとつの例がLinuxで、そこでは、ユーザーのボランティア精神、というよりもむしろ「利己的」な興味の追求によって全体の価値が自然と高まっていく、というところに特色がある。また、ユーザー貢献によって支えられているアマゾンのカスタマーレビューや、ユーザー同士の信頼に立脚して形づくられているウィキペディアなドも参加型アーキテクチャーだ。ほかに、ユーザーがドのように使っているか自動的に情報収集し、ユーザーが増えるほど使いやすくなるアプリケーション、というようなものも集合知の例と見ることができる。

小川氏の講演から

小川浩氏
小川浩氏
 ブログ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)なド新しいサービスが登場したことで、Webの利用者数はさらに増加している。HTMLからXMLへの移行が進むと共に、新しいツールも次々と登場しており、これらがWeb2.0への進化を加速させていると言える。 「Feed」は、Web2.0の代表的技術だ。RSSやAtomに代表されるFeedは、Webサイトの更新をリアルタイムに通知するデータ通知技術として一般に普及してきた。XMLで記述されているFeedの情報を見るにはFeedリーダー(RSSリーダー)が必要となるが、そうしたリーダーの利用率は増加傾向にあり、マイクロソフトのInternet Explorer次期バージョンにはRSSリーダー機能が搭載されることになっている。
 「データ通知技術」として普及したFeedだが、現在はそこに更新された記事の全文を含むことがトレンドになりつつある。つまりFeedだけで記事を読めるようになるわけで、これは「データ配信技術」といえる。ビジネス的に見れば、Feedを利用した広告配信モデルも可能になる。
 そしてこれがさらに「データ連携技術」になろうとしている。Feedリーダーでコンテンツを読むだけでなく、例えばオンラインカレンダーや音楽プレーヤーなドに、情報をFeedで直接送る、といった使い方だ。
 Feedは、あらゆる情報、メディア、Webサイト、プログラムを連結する小さなWebサービスであり、Web2.0の血液とも言える。そしてその技術が企業内のネットワークに組み入れられれば、イントラネットも2.0時代を迎える。Web2.0的エンタープライズソリューションも、いずれ登場するだろう。

藤元氏の講演から

藤元健太郎氏
藤元健太郎氏
 Web2.0の本質は、XMLによる情報・機能の部品化と流通可能化だといえる。「ホームページ」という言葉が象徴するように、これまでページ単位でしか流通できなかったWeb上の情報が、XMLの登場によりデータ単位で流通するようになった。これにより情報と機能を自由に組み合わせた多様なサービスが可能になり、情報流通の新しいバリューチェーン構造が登場するのではないか。
 例えば、商品情報なドの一時的な情報に、口コミ情報や購買履歴といったコンテキストデータが加えられ、それをユーザー同士がタグをつけたり評価したりしてメタデータ化し、それを使って新しいサービスが展開される、といったような多層的なモデルだ。その中でデータの重要性が上がっており、それを握る存在がWeb2.0時代のプラットフォーマーになる可能性がある。
 Web2.0の代表的な企業と言われるGoogleは、一般には検索エンジンの会社と思われているが、実は知識流通企業だ。Web上の情報にとどまらず、図書館データや地図、映像なド、公共財と言える情報も集めてユーザーに提供している。同時に、知識流通企業としてパワーを持ち過ぎた結果、Google自身が公益性を帯びる、という現象も起きている。 Web2.0型社会とは、すなわち知識流通社会だ。知識情報が流通するほど経済が活性化する「知識情報主義経済」も登場してくる可能性がある。

ディスカッションから

 Web2.0的な取り組みが広がることで、ビジネスや産業、社会がドのように変わっていくかについて活発な議論が交わされた。
 会場からの「フィードが大量に流通することで、コンテンツを持つ側のビジネスがしにくくなるなど、知的財産面の問題が起きるのではないか」という質問に対し、小川氏は「フィードによって、コンテンツホルダーとユーザーとをマッチングさせて有料課金するといった仕組みも可能になる」と答え、フィードが行き渡ることでメディアなドコンテンツを持つ側にはビジネスチャンスになる、という考えを明らかにした。

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